学校保健フォーラム1999-11学校での感染症を防ぐ

感染症の予防

牛島廣治(東京大学大学院医学系研究科/国際保健学専攻 発達医科学)

感染症の成立には感染源,感染経路が,さらに発症の成立には生体の免疫防御機構,潜伏期などが関係する。天然痘のように感染源がなくなったもの,ポリオのように根絶途上のものがある。また,エイズのように突然出現した感染症,あるいは結核のように再び増加の傾向のものもある。われわれの食材が多様化し,国際化としたように感染症も同様である。常に感染情報に耳を傾けて対策をたてておくことが学校保健にも求められる。備えあれば憂い少なしである。
平成11年4月から学校保健法によるいわゆる「学校感染症」の改正が行われたのも,新しい時代に即した感染症の予防を行うためである。平成8年に大流行した病原性大腸菌O157を含む腸管出血性大腸菌はわれわれにいろいろの教訓を与えた。学校給食の安全性が問われた。

つぎに感染経路をできるだけ絶つためには,食材・水の安全,手洗いの励行などと,ワクチンがあって予防できる感染症は予防しておくことである。学童で風疹およびインフルエンザのワクチン接種率の低下は,再度先天性風疹症候群およびインフルエンザの流行が危倶される。先進国でワクチン接種がおろそかなのはわが国ぐらいのものである。学校保健に携わる方々は初心に返って,感染源,感染経路の再チェックそして恒常的なチェックを行っていただきたい。

最近問題となっている不登校,いじめ,自殺など学童こおける心理的な未熟性,歪みは,感染防御の面でも同様と考えられる。新生児期から学童期まで少しずつ「やさしく感染を受ける こと,即ち免疫を上手につけることが必要である。学校保健に ける保健教育は成人になっても通じる大切なものである。O157から腸管感染症・食中毒について,エイズからは性感染症,インフルエンザから呼吸器感染症を,B型・C型肝炎から血液・母子感染症を,むし歯から歯の衛生教育を学ぶことができる。高学年になるほど学童が自主的に学習するように指導をつづけてほしい。
 

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