学校保健フォーラム2000-3 魅力ある保健室経営を考える

来室者の多い魅力ある保健室を探る

大谷尚子茨城大学教育学部教授

  ある学校では,こんな話がされているそうです。「保健室に子どもたちが集まるのは,保健室が広いからじゃないのか。保健室を狭くすれば,その分,来室者が減るよ」「保健室は南側の明るくてあったかい部屋だから子どもたちがくるのでは?  北側の部屋にすれば来室者は減るよ」

 なんだか,変な話です。保健室来室者の事情や背景を探ることなしに,また,そのような状況の解決を考えていこうとする姿勢をもたずに,ただ保健室来室者を減らすことを日標にしてしまうことは,まったくおかしいことです。

 このように言われるほど,子どもたちに親しまれ人気のある保健室の魅力は何なのでしょうか。上記にあげられた「明るさ」「暖かさ」「広さ」は,重要な要素だといえるようです。そしてそれは,単に物理的に照度,室温,空間面積という数値が適性値であるというのではなく,子どもたちの実感による感覚的なものが入った結果です。保健室を切り盛り(運営)している養護教諭の明るさ(表情や話し方が暗くない),温かさ(冷たくあしらわない),自由度・公平性(相手を卑屈にさせたり窮屈感を与えない,―人ひとりに平等に居場所を提供している)が,子どもたちの感覚に働きかけ,保健室の雰囲気をイメージさせることになるのです。
 
 それは,上記のような提案によって,たとえ保健室が北側の狭い不利な条件をもつ部屋に移されたとしても,保健室来室者を半減させることにはならないことで明らかになるでしょう。
 
 保健室の明るさ・暖かさ・自由度・公平性を保証するために必要なことは,養護教諭自身が,学校という教育の場で「養護」を担当することの意義を実感し 自己肯定感や自己効カ感をもてることだと思います。
 

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