| 学校保健フォーラム1999-6 子どもの視覚に訴える「歯の健康」
子どもたちの歯を守ろう
丸山文孝(丸山歯科医院)
小児におけるう蝕予防活動を,歯科医側から考えてみると,その対象は小児本人への働きかけのみならず,両親,家族そして地域社会(保育園,学校等)にも重層的に行う必要がある。そして,そういった環境の中で,子どもたちがあたりまえと考える食生活・生活習慣の中で,伸び伸びと育ち,結果としてう蝕が減少していくことを願っている。
14年前学校医となった頃は,歯垢の中から6歳臼歯をブラッシングで見つけ出しむし歯の治療をする時代で,「指導=ブラッシングのみ」であった。しかし,ある程度のブラッシングの定着が実現しても,う蝕は激減してこない。そんな時に現代食生活の誤算(軟食傾向,砂糖の氾濫等)に対して,徹底した甘味制限も行うようになった。しかしここ数年前から,う蝕に対する科学的解明が進み,う蝕原因菌は母子感染であること(親がきちっとした口腔管理をしていないと子どもがう蝕になる危険性が高いこと),その感染時期は生後19ケ月頃から31ケ月であること,同じ食生活をしていても,その子の唾液の量が多いほどう蝕になりにくいこと,また唾液の質も関係深いこと,フッ素が極めて有効なこと,等々がはっきりしてきた。つまり科学的根拠をもらて,より的確な予防プログラムの立案が可能になってきたのである。
しかし,先日も学校歯科検診に行って感じたのだが,クラスによってブラッシングの状態や検診を受ける態度が違う。
医院の定期検診では,あんなに素直で明るい子どもが,担任の先生が替わったのを機に,身に余る暴言を先生に浴びせる。私の立場で説教などするつもりもないが,言わずにはいられず「今,誰になんと言ったク」とどなってしまった。
頭を冷やして考えてみれば,これこそが感受性豊かな子どもたちの環境反応なのかもしれない。
う蝕が科学白りに解明されても,やはり「生活由来型疾患」であることに変わりはない。
子どもたちが―番活動日き間の長い学校という環境の中で,あたり前に歯プラシを持ち,食生活を考え成長し,結果としてう蝕が減少していくことを祈る。そんな環境づくりのために,どんな労も惜しまない歯科医師でいたい。
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