学校保健フォーラム1999-12 いま求められているエイズ教育の必要性

エイズ教育の意義と重要性

平山宗宏(母子愛育会・日本子ども家庭総合研究所長・東京大学名誉教授)

エイズ問題,とくにその教育の必要性がわが国で最初に取り上げられたのは1987年であったが,当時,エイズはまだ特別な疾患として受けとめられており,感染者を差別しない人権教育に重点が置かれていた。しかし短期間の内にエイズを性感染症として受けとめなければならない状況が進み,1992年以降児童生徒用の教材と教師用資料が作成されて全国に配布されてきた。その後エイズ教育は,熱心な学校での実践が進むかたわら,治療法の進歩もめざましい。

―方,1999年4月からは,口伝染病予防法に代わって感染症予防新法が施行され,エイズはその4類感染症に含まれることになった。また梅毒等の性感染症も含まれるようになったので,いわゆるエイズ予防法と性病予防法は廃止された。そして世界的に感染症の重要性が見直される中,文部省の学習指導要領も改正され,保健領域の教育でも,病気の予防の中で感染症もこれまで以上に重視されることになったと見受けられる。

こうした動きの中で,エイズ教育は,人権教育中心に開発を図った初期から,性感染症としての理解の必要性から性教育とドッキングする時代になり,さらにこれからは,感染症予防の基礎を理解することまでを求める方向に進むことになろう。

しかしエイズ教育は,その予防のために正しい知識を持つことと,人権教育とが同時に行われるべきだという基本に変わりはない。そして性教育は人間教育そのものであり,男性女性のお互いの理解と,性差別をしないという基本から発してあらゆる差別をしない人権教育に繋がるので,エイズ教育とは並行的に実施していくことが求められる。

近年重視されるへルスプロモーションないし健康教育の目的は,健康を理解するだけでなく,それを実行できる能方を持つことである。エイズ教育も,将来の個人と社会の健康を守るために重要な多価ワクチンだと考えることができよう。
 

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