学校保健フォーラム1998-10 「タバコ、酒、シンナー、覚せい剤の現状と対策」

第三次覚せい剤乱用期の現状と対策について

樋口建史(警視庁薬物対策課長)

 現在,わが国は「第三次覚せい剤乱用期」という探刻な情勢にあ ります。  

とくに,少年の覚せい剤事犯が増加しており,平成9年には全国で 1,596人の少年が検挙されました。中でも,中学生は,この1年で2 倍,高校生は3年で5倍になっており,しかも,仲間同士で乱用したり,学校内が取り引きや乱用の場となっている例がみられるなど, 今や薬物は少年たちのすぐ身近なところにまで追ってきています。

 この背貴として,イラン人密売組織の街頭における公然無差別の 密売により,少年でも容易に薬物を入手できる状況が出現したこと などが挙げられますが,少年たち自身の薬物乱用に対する罪悪感が 著しく希薄化していることも大きな要因となっています。少年たち の多くは薬物の本当の恐ろしさを知らず,「ダイエット効果がある」 といった間違った知識や「みんなやっているから」といった仲間意 識,または好奇心から容易に薬物に手を出しています。

 しかし,薬物の乱用は,乱用者自身の心身を蝕むばかりでなく, 乱用による幻覚・妄想等によって凶悪な事件や悲惨な事故が引き起 こされるなど,社会の平穏と安全をも脅かすものです。

 そこで,警察においては,薬物問題を治安の根幹に関わる重大な 問題としてとらえ,薬物の供給の速断と需要の根絶の両面からこれ に取り組んでいます。とくに,増加する少年の薬物乱用に対しては, 少年に薬物の有害性,危険性についての正しい知識を持たせるため, 警察職員を学校に派適しての薬物乱用防止教室の開耀等に力を入れています.

 「第三次覚せい剤乱用期」を早期に終息させるため,警察は今後 も国内外の関係機関,家庭,学校,地域等と連携し,総合的な薬物対策を推進していくこととしています。しかし,薬物乱用のない健全な社会を作るためには,まず,国民一人ひとりが薬物問題の深刻 さを理解し,「薬物乱用は絶対に許されない」との強い規範意識を持つことが必要です。  

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