■□ 生と死の教育の進め方 □■
石川県金沢市立南小立野小学校教諭 金森俊朗

 生と死の教育というと多くの人は身構える。そして、その教育は保健や総合の特定領域でしかできないと考えがちである。だが、生と死を【視点】として持ちさえすれば、新学期早々からでも容易にできる。たとえば、給食を通して人間はあらゆる生物の生を奪って生かされている存在であること、検尿・便を通してからだからのメッセージの読み解きなどである。
 具体で語ろう。圭君が「母は奇跡の人だ」と書いてきた。祖母が妊娠中毒症で入院し、「残念ですが、赤ちゃんの命はあきらめてください。近くお産をしますが、赤ちゃんは死んで生まれてくると思います」と医師に告げられる。その危機を乗り越えて辛うじて誕生したのが母だと知る。「その奇跡が起こらなかったらぼくも弟も生まれてこなかったから、ぼくも弟も奇跡的な人!」だと気づく。
 その母から詳細な手紙が届く。息子に「奇跡の人」と言われ「オーバーな」と笑っていたが、自分の誕生や自分の母の父は日露戦争に兵士として出兵、夫の父は日中戦争で中国に出兵、夫の母は空襲に遭っていたことも考えたら、息子の言う通りだと。
 圭君と母の報告をみんなで学習し、生の奥行きにある命の危機をすべての子に調査してもらった。個人に即したリアルな事実の学習は、人間存在を深くとらえさせた。
 「命のリレーは想像していたよりもはるかに細々しいものであった」
 「今、生きている人は、全員、奇跡なんだ」
 「あの時、先祖の一人でも死んでいたらぼくたちはいない。すごく怖いけど、今、生きているのがとてもうれしい」
 新しい子どもを担任すると、私は必ずこうした命のリレーにおける危機の学習に取り組む。 生と死の典型学習として私は、妊婦を招いて性を、がん患者を招いて死を、鶏の屠畜・解体料理で人間存在を子どもと学び合った。詳細は拙著『いのちの教科書』(角川書店)を参考にしていただきたい。
 
 




 
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