■□ 過保護からの脱皮 □■
精神科医 町沢静夫
私が今、一番心に思っているのは、いつまでたっても小・中・高校のいじめが減らないということである。とくに中学校のいじめは、ますます増えている傾向にある。
もちろん、いじめるという非倫理的な行動をするのは、親のしつけが十分できていないということがまずは問題であるが、学校では、先生方が子どものいじめについて、あまり効果ある対策を打ち出していないということも大きなことである。
また、キレる子どもの問題が従来から盛んにいわれているが、キレる子どもというのは、精神医学用語でいうならば、「ボーダーラインの子どもたち」と言ってよいものである。
日本の子どもたちは、アメリカと違って過保護から育ってくるのである。もっと言うならば、先ほどと同じことになるが、親のしつけ不足から起こってくるのである。一方、アメリカのボーダーライン、キレる子どもというのは親の虐待から生じてくるものである。日本の場合は過保護が60%、放置が30%、10%以下に身体的虐待がみられるが、アメリカの場合は、80%以上が身体的虐待、40%前後が性的虐待を親から受けるのである。また、不登校の子どもたちも、やはり昨今は過保護が多いものである。ちょっとしたことで傷つく、つまりちょっとしたことで「いじめられる」ということで学校に行けなくなってしまうのである。
総じてみるならば、キレやすい子も過保護から生まれやすく、いじめられやすい子も過保護によって生まれやすく、また、いじめる子も過保護によって正義感が身についていないということならば、日本人の過保護が問題の中心となってしまう。
日本の子どもたちがちゃんとするためにも、当たり前のことではあるが、過保護をいかに是正し、自立と正義感やモラルをどう身につけていくか、という側面を含んだ、温かい子どもの接し方が望まれるものだと私は考えている。
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