■□ 地域ネットワークづくりを目指して □■
名古屋市西部地域療育センター所長 石川道子

 最近、子どもにかかわる仕事をするなら、「軽度発達障害」と「虐待」という言葉から目をそらすことはできない状況になっている。教育、医学、心理、福祉、さまざまな分野の連携を必要とすることが両者の共通点であるためか、各分野の学会において、テーマとされたり、研修やシンポジウムの企画が増加している。一方、文部科学省から、将来の学校教育の方向性として、特別支援教育が打ち出されてきた。学校教育の中で、適応できていない、問題行動を起こしている、不登校となっている子どもたちに、一人ひとりの子どものニーズにあわせて、通常学級の中で特別支援を行うという構想である。この特別支援教育の対象の大きな割合を占めることを予想されるのが「軽度発達障害」であり、また従来は福祉の問題とされてきたのが、教育の対象となってきたのが「虐待」である。
 「軽度発達障害」も「虐待」も、比較的新しい概念のため、従来の学校教育の中ではまだ指導が確立されていない。特別支援教育を展開するためには、時代とともに出現してくるこのような新しい情報を導入しつつ、既成概念にとらわれない広い視野に立ち、柔軟な対応を実施してみる実行力と、実行を可能にする組織が必要である。つまり、今までの学校には不足している部分が要求されている。学校だけではなく、他機関も同様の変革が要求される。さらに、単一機関での対応だけでは難しいので、地域での連携が不可欠となる。地域での連携とは、日ごろから関係機関が相談しあっていくことに尽きる。これが、時間はかかるが、一番確実な方法である。日常の連携から、地域ネットワークとして機能させるには、コーディネーターの力がいる。コーディネーター役を地域で見つけ、みんなで協力して育てる作業は、じつはそれぞれの機関内でも同じである。「軽度発達障害」と「虐待」は、きちんと対応をしていけば、結果として地域ネットワークをつくっていくこととなるのである。
 
 




 
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