■□ ヨーグルトは超特定保健用食品 □■
高橋敦子 女子栄養大学教

 ヨーグルトの歴史
 ヨーグルトは発酵乳の一つで、乳を原料として乳酸菌、酵母までは両方を併用して発酵させ、さわやかな風味が特徴です。ヨーグルトの起源は、人が家畜の乳を利用するようになったのと同時期であろうといわれていますが、発酵乳の歴史は定かでありません。「旧約聖書」の中にもヨーグルトは登場します。ユダヤ人の始祖アブラハムが、発酵乳と新鮮な牛乳で、3人の天使をもてなしたという記述やダビデ王が兵士たちに発酵乳を渡したという話など、イスラム教でも、発酵乳は非常に大切にされてきました。また、ジンギスカンが広めたヨーグルトは、「乳餅」と呼ばれる乾燥乳があります。この「乳餅」と水を皮袋に入れておくと発酵乳になり、これは「ク?ミス」と呼ばれます。
 ヨーグルトを有名にしたのは、ロシアの科学者メチニコフ氏が「不老長寿の薬」と学説を発表した1907年のことで、ブルガリアのスモーリン地方やロシアのコーカサス地方に100歳を超える高齢者が多いのは、ヨーグルトを食べているからだ、と主張したのです。
 世界中には、まだ日本に紹介されていない発酵乳も多く、ノルウェーの酸度の強い「テッテ」、コーカサス地方の「ケフィール」、馬乳やラクダからつくる「クミス」、エジプトが発生の「レーベル」などがあります。
 日本では乳が利用されるようになった歴史は古く、仏教伝来と同じころ、欽明天皇の時代です。牛乳は薬として考えられていました。加工乳は酪、酥、醍醐などといわれ、日本最古の医学書『医心方』に全身の衰弱を回復させ、便秘に効果があり、また、肌に塗ればつやつやになると書かれています。日本の食卓に登場するのは、明治の文明開化によって牛乳が飲まれるようになり、明治27年整腸剤として売られたのが「凝乳」でした。その後フランスからヨ?グルト菌を輸入し、明治44年にはヨーグルトを販売しました。現在では多くの種類の食品が見られます。
 ヨーグルトは正式には「発酵乳」であり、乳またはこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳などを乳酸菌または酵母で発酵させ、のり状または液状にしたもの、またはこれらを凍結したものと「乳等省令」で定義されています。
 ヨーグルトの種類にはプレーンヨーグルト、ソフトヨーグルト、ハードヨーグルト、ドリンクヨーグルト、フローズンヨーグルトなどがあります。

 ヨーグルトの栄養
 良質たん白質や脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラルが含まれています。牛乳のたん白質は必須アミノ酸が揃っています。しかも、吸収がよく96%以上の消化吸収率を誇っています。この牛乳を原料としているヨーグルトは、乳酸菌の働きによってたん白質が一部アミノ酸に分解して、ペプチドまで分解していっそう吸収されやすくなっています。しかも豆腐状に固まっているので、胃をゆっくりと通って小腸に送られます。
 脂肪は非常に粒が細かく大変消化吸収がよく、また血液中のコレステロールや中性脂肪を低くする働きもあるのです。ビタミンAは美肌に欠かせないし、ビタミンB2は肝臓機能を高めて、肌荒れを防ぎます。このほか食欲不振や疲労回復などに有効なビタミンB1や老化防止のビタミンE、カルシウムの吸収を助けるビタミンDなど、ビタミンC以外は含まれています。カルシウムとリンの割合が1:1と理想のバランスで、カルシウムはイライラを防ぎ、ストレスをも解消します。

 乳酸菌の働き
 私たちの腸の中には、驚くほどたくさんの細菌が生息しています。これらは食べ物を食べたり、空気を吸うことで、体内に入って胃液や胆汁などによって死滅してしまうのですが、中には生きたまま腸まで届いてそこで繁殖するものもいます。大腸菌やビフィズス菌が有名ですがこれはほんの一部で、100種類、約1兆個といわれています。腸内の細菌を働きで分けると、乳酸菌と腐敗菌の2つになります。腸内フローラと呼ばれる集まりをつくっている群が、善玉菌と悪玉菌に分けられます。これらの菌にはからだを健康に保つための働きをしてくれる善玉菌の乳酸菌の中のアシドフィルス菌やビフィズス菌はその代表です。病気を引き起こす原因となる有害物質をつくる悪玉菌の代表はウエルシュ菌や大腸菌などです。善玉は悪玉と闘い、悪玉菌が増えるのを防いでくれます。また、善玉菌の中にはからだの免疫を高めてくれたり、コレステロールの増加を抑制してくれるものもあります。ヨーグルトには善玉菌のアシドフィルス菌やビフィズス菌があり、さらにビフィズス菌が増殖するための乳糖があります。
 おなかの調子を整える働きのあるヨーグルト(最近"プロバイオテイクス"と表示されたヨーグルト)は、人の健康に良い働きをする微生物、プロバイオテイクスを含みます。ヨーグルトに含まれる乳酸菌はその代表選手です。プロバイオテイクスの基本は整腸作用ですが、それ以外にも免疫力の向上や病原菌の感染防止など乳酸菌の働きにも個性があり、その効果はさまざまです。
 ヨーグルトは薬ではありませんが、その特徴を知って食べれば病気の予防になります。特定保健用食品と認められたヨーグルトは人の試験で整腸作用が確かめられたものです。


 
 




 
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