■□ 健康教育にハッピーファクターの追求と発信を □■
照屋博行 福岡教育大学教授
この原稿依頼を受けて、さて、どのように文章構成を行ったらよいかと思案していた矢先に、またまた、長崎市内で大変な事件が起きてしまった。親がちょっと目を離したすきに幼稚園児が行方不明となり、結末は最悪の事態となってしまった。犯人は、市内中学校1年生の男子で、今回も「なぜ?、どうして?」という切ない思いばかりである。このような事件が頻発する中で、「自他の生命を尊重する教育」や「心の教育」の充実が叫ばれているが、これらが一朝一夕に功を奏するものではないだけに、長い目で実践していく必要がある。
医学の領域では、原因不明の疾患が流行すると、その病因、宿主要因、環境要因を探り、その疾患の原因を究明している。疾患を起こす原因が究明されるとリスクファクターをあげて、その疾患の予防対策が講じられる。では、この医学的方法は教育上の問題にも応用できるものかどうかを考えてみたい。教育は、皆が幸福になれるように人が人に対して、夢と希望を語り、他人に対する優しさ、思いやり、そして、意欲を育むことである。そして、教師は、いま目の前にいる子どもたちが、より幸福になることを願って働きかけなければならない。健康教育や性教育、安全教育が「あれは駄目、これも駄目」、「このようにしなさい、あのようにしなさい」の指示型的な方法では、リスクファクターを取り除こうとしているだけで、健康になるという夢を子どもたちの心の中に託すことはできないであろう。つまり、教育の場では、リスクファクターを取り除くことを指示するのではなく、人がより幸福になるという願いを込めて、ハッピーファクターを語ることが重要なことである。
私は養護教諭の専門性とは、「児童・生徒や学校関係者の健康の維持増進を図るための生活支援活動である」と考えている。養護教諭がその専門性を生かし、児童・生徒が、よりよい健康を維持増進できるためのハッピーファクターが追求され、それが発信されることを願っている。
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