■□ カルシウムが豊富なモロヘイヤ □■
高橋敦子 女子栄養大学教

 中東地域を中心に、熱帯地方で広く栽培されているモロヘイヤは葉の部分を食べる近年登場した新しい野菜です。主産地はエジプトを中心とした中東、アフリカ地域およびフィリピンなどです。現在は冬を除けば日本各地で広く栽培されています。
 植物学の分類は、「シナノキ科」「コルコルス属・日本名ツナソ属」で、種で繁殖します。学名「コルコルス.オリトリウス」がモロヘイヤと呼ばれているのは、主にアラブ地方においてです。これはギリシャ語の「Malacho」(軟らかくする)より発生したといわれます。

 成分と働き
 モロヘイヤにはカロテンをはじめカルシウム、カリウム、鉄など、ミネラル分が多く含まれます。
 カルシウム量は野菜のなかではパセリに次ぐ含有量です。1回の食事で食べることを考えればパセリはどんなに食べても10g弱です。モロヘイヤはパセリより絶対量は多いことがわかります。 日本人に不足しているカルシウムは、骨格や歯の発達に欠かせない成分です。食べ物から摂取するカルシウムが不足すると、人間のからだは血中カルシウム濃度を一定に保つために、骨に蓄えられているカルシウムを血液中に溶けださせる働きをします。それが原因となって、骨が軽石のようにもろくなる骨粗しょう症を引き起こすのです。カルシウムは中枢神経を鎮め、いらいら感や過敏症を抑える働きがあり、ストレス緩和に有効です。モロヘイヤには、シュウ酸カルシウムの形で多く含まれているので、カルシウムの吸収を妨げますが、ゆでてアクのシュウ酸を除いて100g食べると170mgのカルシウムが補給できます。
 カリウムの含有量も野菜のなかでは上位に入ります。ゆでることで160mgと損失は多いですが、カリウムはナトリウムの排せつに大切な働きをします。
 カロテン含有量もほうれん草などと比較しても多い方です。
 ビタミンB2はリボフラビンともいって皮ふや髪を美しく保つことから、美容ビタミンとも呼ばれます。パントテン酸とビタミンCはストレスに強いからだをつくります。ストレスを生じると、副腎に働きかけ、副腎皮質ホルモンの産出を促し、ストレスへの抵抗力を高めます。ビタミンB6や葉酸ともに免疫力を強化します。
 ビタミンEも多く、抗酸化作用を発揮してがんを予防します。ところで活性酸素は細胞膜を構成する不飽和脂肪酸を酸化し、過酸化脂質をつくります。これが栄養分の補給や老廃物の排出を防ぎ、細胞の老化や動脈硬化を引き起こします。ビタミンEは抗酸化作用でこの過酸化脂質の生成を抑えます。一緒に摂取すると効果的な栄養素のビタミンA、B群、Cをモロヘイヤは豊富に含むので効果が高まります。
 そのほか、ビタミンKの含有量が100g中640μgと多く、ビタミンKは血管内での有害な血液凝固を押さえ、出血すると血液凝固因子の合成に働くなど血液の作用を裏表でバランスをとっています。また、カルシウムが溶出するのを防ぐ働きもあります。豊富なカルシウムとKの作用で骨粗しょう症の予防に役立ちます。
 モロヘイヤを刻むとでるネバネバしたぬめりの成分は「ムチン」です。糖質とたん白質の複合体からなる粘性物質です。山芋やオクラ、なめこ、ツルムラサキ、サトイモなどに共通して含まれます。
 ムチンは、胃液やだ液にも含まれている成分で、粘膜を潤し、胃壁を保護し、胃炎や胃かいようの予防に役立ちます。また、たん白分解酵素を含むので、生モロヘイヤはたん白質を無駄なく吸収します。
 抗ウイルス作用もあり、粘膜を保護する作用とダブルの働きでかぜの予防にも威力を発揮します。

 
 




 
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