■□ ごまは老化予防に効果がある □■
高橋敦子 女子栄養大学教

ごまの種類
 ごまは、約200万年前のアフリカのサバンナ地帯が原産で、古代エジプトの商人がごまの香りと風味にひかれて、ごま1粒と牛1頭を交換したという話があるくらい、古くから珍重されました。インドの『アーユルベーダ』で「万能薬」、中国の『神農本草経』では「不老長寿の秘薬」と記されました。
 日本に伝えられたのは仏教伝来とともにでした。奈良時代にはごまからしぼったごま油を料理に利用していました。
 ごまには白、黒、茶、金色のものがありますが、栄養的にはほとんど違いがなく、基本的には好みと料理によってごまを選べばよいのですが、黒・金ごまは色素成分の違いがあり、黒はアントシアニン、金はフラボノイドを含んでいます。アントシアニン、フラボノイドはともに抗酸化作用、免疫力アップに役立ちます。

 ごまの成分と働き
 いりごまの成分は100g中に脂質54.2g、たん白質20.3g、カルシウム1200mg、リン560mg、鉄9.9mg、亜鉛5.9mg、ビタミンB1 0.49mg、ビタミンE2.5mg、食物繊維12.6gと栄養価が高く、日本では肉食を禁ずる僧侶たちの栄養源でした。現在、日本で消費されているごまのほとんどは輸入もので中国、スーダン、ナイジェリア、ミャンマーなどから年間約15万トンです。
 ごま(種子)の粒は一つずつ油を封じ込んだ小さなカプセルといえます。乾燥物の50%以上は油ですから、昔から油糧種子として重要視されました。全体の半分以上が脂質で、その構成脂肪酸はリノレン酸、リノール酸、オレイン酸などの不飽和脂肪酸です。そのため、血中コレステロールを下げ、動脈硬化の予防に役立ちます。
 いりごまの香気は、加熱によって油・アミノ酸・糖がお互いに反応してできた百数十種類の揮発性成分の混合物で、これらの香気成分がごまの油に溶け込んだ状態になっているのです。
 ごま油はほかの食用油に比べてきわだって保存性が良く、空気による酸化を受けにくいのです。つまり酸化反応を抑える成分「ゴマリグナン」が1%もごま油に多く含まれています。これはごま種子にセサモリンという特殊成分が存在していて、ごまを加熱処理すると、このセサモリンが化学変化して強力な抗酸化物質がいくつもできてくるのです。つまりこれらの抗酸化物質は二次的生成物なので、このようにセサモリンから生成するもの(セサミン、セサモール、セサミノール、セサモリノール、ピノレジノ?ル配糖体など)をリグナン類といいます。ごま油にこれがたくさんできてくるというわけで、自然の食品添加物で保存性があるのです。リグナン類は油だけでなく「からだが古くなる」のも抑えます。
 椙山女学園大の山下かなえ先生は、早発性老化マウスにごまを食べさせ、ごまが老化色素の沈着を抑え、つやつやした毛並みを保つことを証明しました。この効果はリグナン類の抗酸化性による生理作用によるものです。また、セサミンは、ごまの繊維質が分解してできるリグナンの1種です。胃腸で分解されずに、肝臓とつながっている「門脈」で吸収されるため、肝臓に直接作用するのです。体内でも活性酸素の発生率が高いとされている肝臓で、活性酸素を除去する働きをするので肝臓機能を強化する作用があることも報告されています。
 呼吸で体内に取り込まれた酸素は、生体のエネルギー代謝などに重要な役割をはたしますが、その一部が悪玉化して活性酸素となって細胞や組織を傷つけます。活性酸素は、老化や生活習慣病、がん、しみなどを促進するといわれ、活性酸素を除去する能力が強い物質は老化などの防止に必要なのです。ごまの抗酸化作用としてはビタミンEも有効です。
 骨の形成に欠かせないカルシウムとマグネシウムも多く含んでいることから、骨粗しょう症の予防にも効果的です。

 ごま料理
 ごまは1回にたくさん食べるものではありませんが、料理のわき役として、緑黄色野菜と組み合わせ、ごまあえなどにすると、カロテンやビタミンC、ビタミンEが一緒にとれ、より強い抗酸化性が期待できます。
 精進料理によく食べられるごま豆腐は、でんぷんとたたん白質、脂質と3大栄養源をそろえた栄養食品だったのです。材料は6人分ですが、いり白ごま(する)60g、くず粉60g、昆布だし600g、塩小さじ1/4を混ぜ、こして火にかけます。沸騰したらよく混ぜて、よく練ります。型に流して入れて冷やし固めます。うまみだしにワサビを添えて食べます。


 
 




 
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