歯を支える組織が、歯と歯肉の境界にたまった歯垢細菌によって炎症をおこす歯周病。初期では歯肉だけが炎症の歯肉炎、進行すると骨と歯を連結する繊維である歯根膜が壊れ、骨まで溶け、膿を持ち、歯が揺れる慢性辺縁性歯周炎(歯槽膿漏)に。こうなると歯が抜け、たとえ治っても歯根が露出してしまいます。
今日、大人の歯の5割は歯周病で失っているのが実情です。ところが、子どもの歯肉を歯周探針でそっと触れると、血がにじむ歯肉炎が5〜9歳児の12.8%、10〜14歳の26%にあり、慢性辺縁性歯周炎も1.2%です。(歯科疾患実態調査報告1999年)
管理をはなれ保健活動から人の輪を
さて、こうなるとGOと分類して保健室で刷掃指導、あるいは校医へ受診勧告、というのが従来の対応でした。集団をふるい分け、問題児を抽出し、病気を個人に還元して始末をつける発想です。
しかし、ここは学校、教育の場です。大人の大半が確実にかかる歯周病は子どもみんなの課題です。コレステロールや血糖は見えないが、歯肉の病気は目に見えます。高脂血症や糖尿病の子は少ないが、歯周病は1割から3割の子どもにあります。この子どもたちの親は歯周病真っ盛り、祖父母は歯周病で歯をどんどん失い、先生方も歯周が壊れる真っただ中にいます。
見える病気という絶好の教材、身の回りの誰かが必ずかかっているこの病気こそ学級こぞって、学年を乗り越えて取り組める学習課題です。糖尿病のコントロールは難しいけれど、歯周病のコントロールは毛先の振動で歯と歯肉の境界を清掃すればたちどころに消え去る、病気です。子どもたちの努力が素直に報われる病気です。
今、私は地域で歯みがき上手のお母さんたちを組織して6年生に歯みがきをやってもらいます。子どもたちはお礼にお母さんたちの歯をみがいて自信をつけます。この6年生が新1年生に歯みがきをしてあげて喜んでもらっています。健康管理ではなく温かい人の輪を広げることが教育ではないでしょうか。